導花線の花種
武士の役職比較あれやこれ
花のあとの感想で、武士の役職がわかるようになっていた…!とか書いたので、自分の書いている「恋口の切りかた」との比較で、共通している部分や違う部分を少し♪

花のあとに登場する藩では、ヒロインの父親が務める「組頭」。
そこから中老や家老に出世できる役職、ということになってるのですが…恋口がモデルにしている藩では、組頭は家老衆がそれぞれ兼任するということになっていて、やや扱いが違うんですよー。
この辺の役職の扱いというのは、地方藩によって違っていることはままあったようで。

恋口では、円士郎が家の権力のお陰で部屋住み身分のくせに着任している「番頭」。
これが、そこから中老、家老に出世することができる役職なんで、花のあとの組頭に相当する役職になります。
ということで、作中の脚注でも名誉職的だと書いたのですが、組頭=家老の恋口では、他の藩より番頭の扱いが上なんです。

でも、花のあとのヒロインが恋する孫四郎が婿入りして見習いとなった「奏者番」と、敵役の藤井勘解由が務める「用人」。
これは、恋口でも花のあとと同じような位置付けの役職です。

…まあ、役職の偉さで言えば、恋口では組頭に相当する番頭のほうが当然用人より上という違いはありますが。

円士郎が登城したシーンで、仕置家老の藤岡左門之丞が引き連れているのが用人です。
別の先法御三家の当主である菊田水右衛門が兼務しているのはその用人組の取締役なんで、もちっと偉い役職になります。

「奏者番」はその用人の下の役職で、恋口では奏者番の更に下の役職として勘定奉行などがあり、その下でお役目を果たす勘定組の平藩士の家というのが──元々の秋山隼人の実家である秋山家などです。

勘定組の家ですが、隼人は家督を継ぐ前の部屋住みの身で小納戸役(部屋住みの若者がよく就く)から、殿様の眼鏡に適って鷹匠の役職に抜擢されていたので、やる気ゼロとは言えなかなか優秀ではあったのです。
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