ガラスのタンポポ
翌日の朝、オレが行くより早く奏来が迎えに来た。


「翔ちゃん、オハヨ♪」


昨日の兄貴の話、普段より明るく振る舞う奏来に不安を拭いきれない。


それでも聞いてはいけないという兄貴に従わなければならない気がした。


「オス!奏来。今日は早いじゃん。てか、何で髪巻いて化粧までしてんの?」


「フフッ…。奏来は翔ちゃんの彼女です。たまにはおめかしもするのですっ」


「ふーん…。じゃあ、お出かけのチューは?」


奏来から唇を重ねてきてびっくりするオレに、もう一度キス。


「行こっ!翔ちゃん♪」


奏来はオレの手を強く握り、学校まで離さなかった。


教室へ入ると、真之の机まで、


「吉永くん、エリちゃんオハヨ!」


と、元気良く挨拶し、


「ね、ね。今日ね、また前みたいに午後の授業サボって、カラオケ行かない?」


と、言い出した。


真之もエリも面食らったようだけど、


「内海から言い出すなんてな。いいよ、行こうぜ!」


「奏来ちゃんかわいー♪お人形さんみたい!」


「エヘヘ。たまには翔ちゃんに乙女なトコ見せつけないとねっ」
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