ガラスのタンポポ
奏来とオレと兄貴と
「そーらっ!またお前、そんな本ばっか読んでんの?」


「…あ、翔ちゃん」


「あ、じゃねーよ。オイショ、っと」


窓際に座ってる奏来の手から介護うんぬんの本を抜き取り、遠慮なく机に腰かける。


「…翔ちゃん、ソラおべんと中だよ」


「弁当つっても、ちっさいおにぎり1個じゃんか」


奏来の弁当は、包んでいるアルミホイルが気の毒になる程、小さなおにぎりだ。


毎日。


理由を聞くと、なんでも、本を読みながらだと、タコさんウィンナーや卵焼きの入った女子特有のかわいらしい凝った弁当より、おにぎりの方が都合がいいらしい。


一理あるけど、他にも理由がある。


働いているおばさんの家事を少しでも減らしたいというのが、奏来の本音だろうとオレは思ってる。
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