雨色恋歌
第1章 日常
出逢い
「・・・・・ねむ・・・」
欠伸をこらえながら歩く。
―――眠くて眠くて、堪ったもんじゃない。
そんなことを呟く私―佐伯蘭(さえき らん)―は、今日からついに中学2年生。
先輩の存在に怯える生活はもうおしまい!
自由奔放に生きるんだから。
中2と言ったら、恋愛に友情に部活!青春まっさかりっ!!
「あー楽しみっ☆」
というわけで、最初の行事はクラス替え。
前のクラスが大嫌いだった私にとって、このクラス替えは最高のお楽しみ。
前のクラスが最悪だったから、今度こそ幸せに生活できる良いクラスに入りたい。
わくわくした足取りで掲示に近付く。・・・が。
「・・・・・・・・見えない・・・・・」
人が多すぎで全く見えやしない。
もともと私の学年は人数が多いのだ。さっさと退かなきゃ見えるわけが無い。
・・・のに。
「きゃっ!見て見てェ~雄介くん私と同じクラスだあぁ~」
「うそっ!まじで?良かったじゃ~ん」
退こうとする意思が全く感じられない。
自分のを見たらすぐ退けばいい話なのに、関係ない人の分まで探しているんだから、後に控えている生徒はいつになっても自分のクラスに辿り着かない。
やっと掲示の前に立てた私は、自分の名前を探す。
A組・・・・ない。
B組・・・・ない。
C組・・・・・・あった!!
ということは私は2年C組。出席番号は女子6番。
ちょっと気になったから、隣の席の男子を確かめる。
「・・・・・・・・・・げ」
―――篠宮光樹。しのみやこうき・・・
私の元彼だった。別に未練なんてものは無いから、良いけど。
なんとなく気まずい雰囲気があったら、すごぉく嫌だ。
まぁ・・・・なんとかなるか。
女子のメンバーも男子のメンバーもそんなに悪く無かったし。
軽い足取りで教室へ向かった。