魅惑★ladyの作り方


「華楠にとっては、その程度ってことか…」


華楠の出ていった扉を見つめ、帝が小さく呟いた。

「あの頃の二の舞になるくらいなら…今のうちに離した方が良いに決まってんだろ。
お前らが馬鹿みてぇに構うからまたあんな事になったんだ」

「華楠のことに関しては、翔が1番冷静…
翔がそう思うなら、そう、なんでしょ」


少しふて腐れたように、寂しげにソファーに小さく丸まる馨。
慧も小さくため息を付き、馨の頭を軽く撫でた。


「ってか、いつから本気なんだ?
お前らは」


翔が全体をみて言うと、帝と海が鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をした。


「な、何言ってんの翔!
本気って、俺は…」


困惑したような表情の海に翔が首を傾げる。
帝にしてもそうだが、既に自覚していると思っていたのだ。


「俺、は…」


困惑したような、思い詰めたような顔の帝。
その顔を見た慧がフッと鼻で笑った。
馨は唇を尖らし、帝から顔を反らして小さく呟いた。


「華楠、好き…」

「…好きだな……」


慧も小さく呟き、頷いて同意を示す。
ハッキリと言い切った二人に、複雑そうな顔をする三人。
その三人を二人が睨み、言葉を続けた。


「考え方だって、成長、してる…
今だって、こうして、ずっと一緒にいたいけど…我慢、出来る、覚悟は決めたから…」

「華楠を、姫の二の舞にはしない」

 
 

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