神様は不公平
高校3年生 冬

さすがに三年生の冬ともなると
学校指定のカーディガンは毛玉だらけになる。

なので

私は学校指定のカーディガンではなく、○ーす○ぼー○のカーディガンを着ている。
毎日ばれやしないか、おこられやしないかちょっぴりスリルなのがたまらない。

最近私はちょっぴりMかも

なぁんて思ってみたり。

羽須美はどうやればあんなに綺麗に着れるのか不思議なくらい毛玉がない。
毎年買い換えているとかいうオチは無いはず。

明花は

もはや元がわからないくらいヘアピンやら缶バッチやらでカーディガンはごちゃごちゃ。

彼女は推薦入試で大学に受かったのが昨日判明。

「お先に失礼。」

明花は機嫌が良い。まあ、この3年間彼女の機嫌が悪いのは見たことがないけど。

「いいなあ・・・。」

思わず私は呟いた。
明花は一足早く受験戦争から抜け出した。

私はまだまだ受験生。
しかも私が受けるのは英文科

「いいじゃん、絢子は英語が得意なんだから。」
「まともに考えてみてよ、英文科なんてみんな英語が得意なんだから。」

そう。本気で凹む。井の中の蛙だった私は本当に大海を知らなかった。
「私くらいの成績の子はい~~~~っぱいいる。」

かと言って英語以外に得意科目なんてないし・・・本気で凹む。うん。今になって気がついたけど、今時得意科目が一つだけの受験生なんてそうそういない。

なんだかんだ言っても明花は国語だけではなく、社会と生物も得意だ。
羽須美は苦手な科目がない。


「私って普通の人間だったのねぇ・・・」

「まあ、トレ○ロー○の宇宙人じゃないことは確かだよ。」
明花は訳のわからない慰めをしてくれる。

「でも、黒坂はとっつきやすくなったよな。最初に比べて。」

甘木君はいつもいきなり会話に入ってくる。

「たしかにね、1年の時の絢子はちょっと高飛車な感じでとっつきにくかった。」

羽須美や、あなたには言われたくない。
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