紅龍 ―1―







「レン―…?」


精一杯の声でレンの名前を呼ぶ。

"そんなはずないよな?"


と問い掛けるように。



「リュウ?俺は―…」


レンが俺を見つめる。


何かに絶望したような眼で。


何かの終わりを怯える眼で。











「ばーか―…。」






その時、レンが架可から目を離した瞬間、架可の声が静かに響いた。



パサッと音を上げ、レンの"かつら"が取られる。




「…―レン?」







そこにはレンが居るはずなのに、そのレンの姿は"紅花"だった。







「レン?」



もう一度レンの姿を確かめるように俺はレンの名前を呼んだ。



そんな俺に


「ごめんね―…リュウ。」



まるで自分が紅花と認めるようにレンは言い放った。



そして床で気絶する架可のもとへと向かったレン。



架可の耳元で何かを呟いたレンはもう一度俺を見て、





< 101 / 339 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop