余命1年夫婦
~1~

たった一つ

【逞said】

僕の命はもうそんなに長くはない。
だから今を生きよう。今を生きて、今だけを大切にしていこう。
僕はもう傷つけたりはしない。好きな人を、どこまでも愛することにする。
ただそれだけの人生さ。

「逞!もう遅い!ドンだけ待たしてるのぉ?」
俺の彼女。繭。繭は小さいときから、病院で、俺の看病を、医者の息子としてやっていた。
そこから恋につながった。俺の初恋の彼女だ。
「ごめん。繭。でも、また退院したよ!」
「もう。何回退院繰り返してんのよぉ。お父さん。なんだって?」
そう。繭のお父さんは、俺が小さいときから、今までずっと俺たちを見てくれた人だ。
「もういきなり走ったり発作をおこすようなことはするなよ。だって。」
「そっかぁ。逞ももう走ったりすることが出来ないんだぁ。」
繭。。。。そんな悲しい顔すんなよ。
俺ももう命が危ないと宣告された日に、だんだんとちかづいていた。

「逞!逞!」
ある日俺は、突然倒れた。
息も出来ず、ただひたすら、かすかにしか取り込めない空気を、必死に吸っていた。
病院に着いたとき、もう死ぬ間際だった俺を、繭のお父さんが、助けてくれた。
今では命の恩人だ。だけどある日俺は聞いてしまった。
『逞君は、長く生きれて、あと20まで生きれるかどうか・・・・。』
それを聞いたとたん、俺はどうすることも出来ずそこに立ち尽くしていた。
ないている母さん。それをどうすることも出来ないような目でみる父さん。
はっきり言って俺も見ていられない状態になった。
そのとき、隣で、なく声が聞こえた。
繭だった。
そのとき俺たちは、8歳。俺は生きれてあと12歳だ。
俺はそのとき思った。
僕の初恋は。。。。いや言い換えそう。
『僕たちの初恋にはタイムリミットがある。』
時はすぎもういつの間にか時は8歳から7年もたっていた。

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