愛されたい
出会い
次の日。
「それでね…。」
朝いつものように祥とお喋りしながら教室のドアを開けた瞬間。
ガタン!
ついお喋りに夢中でよそ見をしていたあたしは誰かとぶつかって尻餅をついた。
「あいたたた。」
「す、すいません…。だ、大丈夫ですか…?」
ゆっくり目を開けると見たことのない男子生徒の姿が。
眼鏡をかけていていかにも地味という外見だった。
「あ…うん大丈夫。あなたこそ。大丈夫?」
「あ、うん。大丈夫…。」
「おいおい。大丈夫かよ。二人とも。」
祥が呆れた声でそう言った。
「ほら立てるか?」
そう言って祥があたしに手を差し出してくれた。
「ありがとう。」
あたしはその手をとり立ち上がった。
「あたしのほうこそ。不注意でごめんね。」
あたしが謝ると男子生徒は消えそうな声で「い、いえ。こちらこそすいません…。」と言うと自分の席に戻って行った。
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