この命果てるまで
Prologue.



 ―――――深い、深い闇の中―――……。

 少女は一人、彷徨っていた。

 ――――ここは、ドコだろう?

 ふらふらと歩きながら、少女は一人、そう思った。

 のろのろと歩きながら、ここに来るまでの経緯を思い出す。

 ………確か、家にいて。

 知らない男が二人、来て。

 そして―――……。

 連れて、来られたのだ。

 船に揺られ、ここまで。

 ―――そう、ここは。

 六年間、自分が産まれ、暮らした国ではない。

 どこかすら判らぬ、見知らぬ土地なのだ―――……。

 ――――そして少女は理解した。

 自分は、捨てられたのだ、と。

 他ならぬ、父と母に。

 貧しい家だった。

 毎日食べていくのがやっと。

 だから、売られた。

 金銭が入っているであろう小袋を受け取った時の、母親の嬉しそうな顔が脳裏を過った。



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