蜜月 -love is ruffian-【BL】
そう思ったのは他のクラスメイトも同じだったみたいで、あちこちから歓迎の拍手と「宜しく」の声が沸き起こった。
兵藤くんは嬉しそうにクラス内を見渡している。
その時、兵藤くんと視線がぶつかった気がした。
気のせいだと思い、もう一度兵藤くんの方を見てみる。
兵藤くんは依然として僕を見ていたみたいで、今度はにっこりと微笑みを投げ掛けられた。
「じゃあ、そこの空いている席に座ってくれ」
そう言って担任が指さしたのは、僕の左隣にある空の席。
教卓の横から妙にニタニタした様子で、兵藤くんが向かって来る。
「あっ、そうだ。間宮、兵藤の世話は宜しく頼んだ。学級委員だし、席も隣だし、丁度いいよな。しっかりやれよー」
そう言って、教室からのんきに去って行く担任。
お世話係?
転校生の?
意味がわかんない。
高校生にもなって、転校生のお世話係とか……。
思わず溜め息を溢しかけて、止めた。
左で、兵藤くんが僕を見下ろしていたからだ。
それも、満面の笑みで。