蜜月 -love is ruffian-【BL】
「……嬉しいよ。すげぇ、嬉しい」
「やっぱりそうだ。僕、兵藤くんのこと、ちょっとわかったかも」
「わかったって、どんなこと?」
「兵藤くんは嬉しいことがあると、誰かに抱き着きたがるよね」
マジで!?
俺ってそんな変態みたいなことしてたの!?
嬉しくて人に抱き着きたがるとか、変態かよ……。
「知らなかった。俺、そんなことしてたのか。今まで無意識だったわ」
「今日一日、兵藤くんのこと見ててわかったよ。だからさ、そろそろ離れてくれない?」
「ごっ、ごめん!」
慌てて咲都から離れた。
「……にしても、長居しちゃったな。じゃあな咲都、今日はありがと」
「うん」
「明日も、宜しくな!」
「うん」
「そうだ。明日の朝、迎えに行くから!」
「……え?」
「じゃ、じゃあ!また明日な!」
俺の言葉に一瞬、咲都が心底嫌そうな顔をしていた気がするから。
俺は急いで部屋を飛び出し、自室へと走った。
あぁいう時は、とりあえず言ったもん勝ち。
相手の返事を待ってたら駄目だ。
咲都みたいな優しい子なら押されたらきっと、NOとは言えない筈。
……多分。
……あくまでも、多分だけど。