蜜月 -love is ruffian-【BL】
「寮生活ってさ、やっぱり皆自炊とかするの?」
彼の視線は、僕が提げている買い物袋にあった。
「自炊してる人もいるとは思いますけど、殆どの人は学食で済ませてますよ」
「なるほど。あっ、袋持とうか?」
「えっ……!?」
ヒョイと両手から袋を取られてしまった。
手ぶらになった両手は楽だけれど、やっぱり申し訳無い。
彼だって、大きな鞄を持っているのに。
「あの、本当にそういうのいいですから」
「いいのいいの。案内してくれるお礼ってことで」
断っても、その人の好い笑顔が返ってくるだけで。
「ありがとう、ございます……」
僕は、彼の優しさに負けてしまったみたいだ。