黒潮組
第一章

プロローグ

2日間降り続いた雨もやみ、澄み渡った青い空に眩しい太陽が見える。
この村名物の花畑は、元気に花を咲かせ、花畑中を鮮やかに彩っている。
その花畑の真ん中に銅像が建っている。
「黒潮 啓祐」
数十年前、ここには別の村があった。
その村が廃村になり、それからしばらくの間、ここは人々に忘れられた地であった。
そんなある日、ここで暴力団同士の抗争が起こった。
「黒潮組」と日本で最も恐れられていた「斬流組」の抗争。
結果は「黒潮組」の勝利。
恐れられていた「斬流組」は完全に消滅した。
黒潮組の組長は抗争の後、ここに一輪の花を植えたという。
その黒潮組の組長こそが銅像の男、黒潮 啓祐その人である。

これは暴力団の組長でありながら平和を望み続けた一人の男の物語である。
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