あいつ色
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START01  理生side

「どこ行くんだよ。そんなにめかしこんで。」
「どこ行くって…学校じゃん。」
「学校だからだよ。」
「何が…?」
「めかしこんで。」
「え?」
「物分かりのワリーやつだな。そんな恰好何処に晒すんだよ。」
朝からこんな仲の悪そうな会話を交わすのは、俺、栗山理生と幼馴染、星野華乃羽。
「どこがダメって言うの?」
はぁ…。
こいつとの会話にはすごく根気と気合が必要なのだ。
基本言葉は伝わらない。
そうとう丁寧に話さないと伝わらない。
「その短すぎるスカートと妙に長い靴下と派手なカバンとくるくるしてるその髪型と…」
「あ―――――!!!もういい!!!!」
物分かりが悪いクセに短気なこいつ。
「はいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはい!!!!!」
「『はい』は一回!」
「はい!!!!」
「明日からなんとかしろよ。」
「そんなことしないよー。」
「なんでだよ。」
「女子高生だもん♪満喫したいじゃん。」
そして華乃羽らしくない笑みを浮かべて言う。
「可愛くね。」
幼馴染なのにちょっとドキっとしてしまった。
そんな入学式の日の朝も悪くない。
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