トリッティーの壁から手
「君が驚いたんだ、君が悪い怒鳴るな」
長い指をピシッと前に出し真剣な表情で僕を指差す。
ひとつひとつの動作が様になっていてとても綺麗だが、そのせいか会って間もない人間の神経を逆撫でることに、彼は気づいているのか……。
それに脅かしたものが悪いと思うのは僕だけなのか?
頭の中でぐるぐる自問自答が繰り返され、僕がたどり着いた答えは……
「あれ?あれあれ、どこいくのさ」
とにかく無視することだった。