蜜林檎 *Ⅰ*
「じゃあ、また・・・
 時間がとれたら、電話か
 さっき聞いたアドレスに
 連絡するから」
 
「はい、今日は一緒に
 過ごしてくれてありがとう」

愛しい人の運転する車は杏の
見慣れた町並みを走って行く。
 
その車と、すれ違う百合は
コンビニの袋をさげて家へと
向かう途中、杏の姿に気がつき
大きな声で呼び止めた。

「アン
 こんなところで何してるの」

「ユリちゃん・・
 ううん、何もしてないよ
 風にあたってただけ
 ユリちゃんはコンビニ?」

百合は牛乳の入ったコンビニ
の袋を、杏に見せるのだった。
 
二人は並んで家へと歩く。

「お友達は帰ったの?」

「うん
 さっき別れたから・・・」
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