蜜林檎 *Ⅰ*
しかし樹は、ここには
泊める事はできないと
きっぱりと断るのだった。
  
そして、財布からお金を出し
まりあに渡した。

「これで
 どこか泊まってくれ」
 
「分かりました
 お金、借りるわね」

「もう、返さなくていいよ
 マリア、自分をもっと
 大切にしてくれ」

その言葉に、彼女は目を伏せた

「お金は有り難く頂くわ
 ありがとう
 少し休ませてもらったら
 タクシー呼ぶわ」

それから一時間が経ち、樹の
マンションから出て来た
まりあはタクシーに乗車して
帰って行く。
 
その光景の全てを、写真に
撮られてしまった。
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