蜜林檎 *Ⅰ*
「ひさしぶり、アンちゃん」

烈は、照れながら微笑んだ。

その笑顔は、昔と少しも
変わらない。

「うそでしょう
 
 私の後ろばっかりくっ付いて
 いたあのレツが・・・
 こんなに、男らしく
 また、男前に育つなんて」

百合が、奥から出てくる。

「本当、私も
 びっくりしてるのよ
 この間会った時は、小学生
 だったのに・・・
 
 もう14歳だなんて

 背も、高くなって」

百合は溢れる涙を、エプロン
の裾でふく。

「こら、ユリ

 泣く奴があるか」

「そりゃ、泣くでしょう
 成長した息子の姿だもん
 
 あっ、それで
 のれんが出てないんだね」

烈は、困った表情を浮かべて
言う。
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