蜜林檎 *Ⅰ*
杏はその声に少し戸惑いながら
以前二人でいるところを、偶然
に姉が見ていて

『イツキじゃないか』と
問われた事を知らせた。
   
「イツキに似てる人だって
 ちゃんとごまかせたから
 大丈夫だよ・・・
 心配しないでね
 やっぱり、バレると
 ・・・困るよね?」
  
杏の声に、元気が無くなった。
 
「いやっ・・・」

「野瀬さん、そろそろ
 レコーディング開始します」
 
「はい、すぐ行きます・・・
 
 杏、このレコーディングが
 終わって時間ができたら
 逢って話したい事があるんだ
 大切な話なんだ
 
 ごめん、そろそろ戻らなきゃ
 また、連絡するよ」

「わかった・・・
 お仕事がんばってね」

「メール、ありがとう
 杏の声が聞けて良かった」

杏は、樹の大切な話が何なのか

・・・とても気になる。
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