蜜林檎 *Ⅰ*
二人は、声を揃えて言う。

「天使の衣です」

「あの、今から話すこと
 他言しないとお約束して
 頂けますか?」

「はい」

スタッフは、ポケットから
何かを取り出す。 
 
そう、それは
バックステージパスだった。

スタッフの彼女が言うには
ライブ終了後に、このパス
を持ち、あのドアを開けて
中に入ればメンバーの皆に
会えるという事だった。

顔を見合わせる二人は
その言葉に驚きを隠せない。
 
「うそ~」

「お静かにお願いしますね
 それでは、ライブを
 お楽しみください」

もちろん、ライブは盛り上がり
杏も瑠璃子も最高の気分。

いつもなら、ライブが終盤に
入る頃、二人は、ほんの少し
寂しい気分になるのだったが
  
今日はライブが終わった後に
メンバーに会える。
  
そう思い、心は躍っていた。

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