君と、恋

















「最近…すごく冷たくて。初めから冷たかったんですけど。…最近一段と冷たいんです」



















ひどく落ち込む飛鳥ちゃんに


あたしは少し同情した。


それと同時に、嫉妬した。

































「何回も別れようと思ったんですけど。…でもやっぱり、好きで…」






























…だから?



























「だから、何?」






























言った瞬間後悔。


思ったことを素直に言い過ぎた。






































「あ、えっと…」


































「あ、飛鳥ちゃん大丈夫だよ!藤田すごい冷たいけど、でも本当は優しいやつだから!」



























隣でなだめる結衣に任せよう。


あたしはもう、


これ以上聞いていられない。


感情を、押し殺せないよ。
































「ごめん。帰る」


























「あ、ちょ…紗月!」






























教室を飛び出して玄関に向かう。


後ろから追いかけて来る足音。


それでもあたしは、


その場に立ち止まれなくて。



























「紗月!待って待って!」

































結衣の声がする。


足の早い結衣には敵うはずもなく、


追いつかれて肩を掴まれる。



















< 143 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop