花とアイドル☆《完》
「あは。

あたし、ただの学生だし、ヒマ
だからぁ」


「んー、この家にはそれがありが
たいよ。

父さんとオレがこんな生活だから
なー」


そう言う拓斗の声が、少しさみし
そうに聞こえた気がして。

花乃は、拓斗の目をまじまじと
見つめた。


拓斗も、花乃の視線に気づいて、
チラッと笑顔を見せながら、


「だから、花乃さんさえイヤじゃ
なかったら、また時々母さんの
相手してやってくれる?

って、オレが頼める立場でも
ないんだけどネ」


笑顔の中に、ほんの少しだけ、
自嘲じみた表情。


――何だか、悲しそう……?
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