花とアイドル☆《完》
結局、達也の『何かあったら自分
が責任をとる』という言葉を全面
信用して、黙認――ということに
なっていた。


とはいえ、拓斗の父親がマーズ・
プロの社長であるということは、
世間はおろか、業界内でも一切
公表はしていない。

言わば、事務所と本郷家の間だけ
の秘密、なのだ。


そんな状態で、いくら達也と
いっても、どこまで権力が通用
するのか――。


奏は、内心ではそう考え、全く
信用などしていなかったけれど。

感情を表に出さないタチなので、
彼の本心を知る者は、おそらく
いなかったに違いない。
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