花とアイドル☆《完》
「……ふぁぁ〜。ねっむぅ……」


遠慮のカケラもない大あくびを
してそう言ったのは、後部シート
に座る拓斗だ。


「ちょっとたっくん、なぁに?

ちゃんと寝なかったのぉ?」


「寝たよ。それなりには」


モゴモゴと口ごもるように説明
して。

拓斗は眠気を覚ますためにか、
ウィンドウを開けて風を入れた。


「おっ、気持ちいい♪」


「ほんと、いい風ね〜」


少しひんやりした空気が車内を
駆け抜け、みんなが次々とそんな
ことを口にする。


と。


ただ一人、何の反応も示さなかっ
た花乃に気づき、花乃の真後ろに
座る遥が声をかけた。


「あれ? 花乃さんも、なんか
元気ないです?」


「――えっ!?

あ、ううん……そんなことない
けど」
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