双子



暫くして担任が入ってきて、朝のホームルームが始まった。
挨拶などを済ませた後、行われるのは出席。

私の苗字は伊吹。
「い」だから早く呼ばれる。

「伊吹茜とその妹ー居るかー」

担任が気の抜けた声でそう呼んだ。

「ちょっと先生、愛も名前で呼んでください」

茜が注意してくれた、けどそう言うこというと私が惨めに見えて嫌だ。

「いいよ、茜」

「えっ、でも」

「茜は優しいなー」

ほんとによかったの、と言う目で私を見つめてきた。
でもあれはわざとだよ、ねぇ、先生。

双子なのにここまで待遇が違うか…


「高野渉と高野優ー」


言い忘れていたけど、このクラスには私達の他にもう1人双子が居る。
それがさっき私の机に座ってきた高野渉(わたる)、片割れの名が高野優(まさる)。

兄の優は明るくて、運動神経抜群。

弟の渉もやはり明るくて運動神経抜群。だけどたまに人が変わったようになる。
時々冷たい目をするというか、そんな感じ。


そうして、最後の人が呼ばれた。


「湯川奈緒子ー」

「はーい」
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