歪んだ世界

異変









あぁ。

洗剤のいい匂い。


先輩の心臓の音。


先輩の体温。


どれもが心地よくて幸せだった。



「大丈夫か?」




上から聞こえる甘いテノールの声。


こんなに安心しきったのいつぶりだろうか?

もしかしたら、初めてかもしれない。




「はい。
ありがとうございます。」




さすがにずっと寝させてもらう訳にはいかないから起きようと立ち上がった時・・・・


目の前がクランクランして、周りが歪んで見える。


足にフッと力が抜けて座り込みそうになると、先輩が支えてくれた。



「っぶなぁ~。
大丈夫じゃないじゃんか!

気おつけろ。」



説教。


いつも担任にされるけど、そんなのより、全然違う。


優しいって言うかなんて言うか・・・・・。






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