僕と君と。


「私ね…引っ越すことに
なったの…」


僕は何故か少し安心した
会いに行きたければ
いける。そう思ったから。


「どこに行くの…?」


「よく分かんないけどね
ずっと遠くだって…
飛行機じゃなきゃ行けない
所だって…」


柚葉が涙を流す


柚葉の涙でどれだけ
遠い場所にあるのか
分かった気がした


「大丈夫…会えるから…」


僕は必死に柚葉を慰める


「本当に?待っててくれる?」


「うん」


柚葉がやっといつもの
笑みをみせたことに
僕はほっとした


遠くで母が呼ぶ声が
聞こえた。
だが僕は聞こえてない
ふりをする


「柚葉ちゃん大きくなったら
結婚しようね」


僕はそう言って柚葉
の手を引いて桜の木の
影に隠れた。


「…結婚…してくれる?」


「うん!!」


頷き顔を上げた柚葉に
僕は軽いキスをした──


この桜の木の下で
愛を誓ったんだ


“僕は柚葉ちゃんを幸せ
にします”




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