14怪談
「ありがとう・・・ありがとう・・」


そう呟きながら、彼女は今にも消えそうに体が点滅していた。



「ま、待ってくれ!」


彼女の腕を掴んだ。しかし掴んだ腕に質量はなく、光の粒子となって辺りをふわふわと舞った後、溶けるように景色に消えていった。


直子は最後に消え入りそうな声で、







「生きてる時に出会いたかった・・・」





呟き、光の粒子となって僕の前から姿を消した。




時計はすでに5時をまわり、小窓から暗い空が、太陽にあてられ徐々に白んでいくのが見えた。
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