14怪談
今日のために購入したタキシードは転倒の衝撃で、肩の縫合部がほつれ、ボタンはちぎれ飛んでコロコロと地面を転がった。






僕は靴の裏に刺さった何かを指で引き抜いた。






そして何が刺さったのかを確認した。





それはホッチキスの芯だった。





もしやと思い、後ろを振り返る。



すると僕が駆け下りた階段が、上がりではなく、また下り階段になっていた。




その階段はあのアパートの時と同じ、14階段であった。

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