極彩色のモノクローム

ナポリタンを食べた後、

マスターはカウンターの向こうに入って

珈琲を淹れはじめた。


その真剣な顔が一番好きだ、

なんて言ったら、きっと

俺はいつも真面目だとか
なんだとか

そんな事を言いそうだから
言わないけれど。


凄くいい香り。


珈琲に注がれる愛に、

少し嫉妬を覚えるほど

この人は

この仕事を愛しているんだと思う。


温められたカップに注がれる珈琲。


差し出されて、私は礼を言った。



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