極彩色のモノクローム

「私、お金ないよ?」


言うと、真船さんは目を細めて私の髪をそっと撫でた。


「絵を書いてよ。俺の為に。」


「そんなのでいいの?」


私の問いに、真船さんは満面の笑みを浮かべて頷いた。


ガチャンとヤカンが音をたてた。


ビックリして振り返ると、

俯いたまま珈琲を淹れているマスターが

完全にむくれていた。


私は真船さんと目を合わせると、

思わず吹き出した。


真船さんも、優しい優しい人だ。


私のまわりには、
いつの間にか優しい人が増えていく。


私を愛してくれてるのが伝わってくる。


疑う必要もないくらい。


私にわかりやすいように、
伝えてくれるから。


私は幸せ者だ。


きっと、誰よりも。


今、幸せだ。



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