もう1人の彼氏
寂しくて、悲しくて、夏休み中、ずっとずっと泣いていた。


代官山で一人暮らしを始めたばかりの高校の時からの親友が、
「しばらくうちに来いよ」
と言ってくれた。


親友といっても男。


でも、高校1年の頃からのつきあいで、
大喧嘩もしたし、恥を捨てていろんな意見をぶつけあったこともある、大切な友達。

信頼できる友達だから、安心して親友の所へ行った。


「大丈夫か?」
そう言いながら頭をクシャクシャっと撫でてきた。


懐かしいこの感覚に、涙が出た。


「おー。泣け泣け。
思う存分泣いたらスッキリするぞー!
あ、コンビニ行っていい?」


コンビニに行き、

「絵里香、何飲む?
俺んち、紅茶とか洒落たもん、何もないからさぁ。
買っていかなきゃ泣き終えてカラカラになった喉を潤せないぞー」

気の抜けた喋り方が、また懐かしくて涙出そうになった。
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