シオンの詩
世界
遥か昔、技術によって機械に心を持たせようと何百年も昔から研究をしていた。

プログラムされた選択肢に頼るしかない不完全なシステムではなく、喜び、怒り、哀しみ、楽しむ完全な心を作り出すことを世界中が夢見た。

あらゆる分野の科学者により人工知能開発は躍進的な進歩を遂げていくが、心と呼ぶには到底及ばないものだった。

しかし近年になりある研究者が革命的なシステム、《コロナ》の開発に成功。

そのシステムは従来の人工知能の性能をあらゆる面において上回るものだった。

高度な知識と学習能力、技術力、応用力、何より独立した意志。

機械達の作業効率は大幅に上がりやがて全ての産業用ロボットに搭載された。

人と機械が共存できる理想の世界が実現したかと思えた。

しかし、《コロナ》の開発者のガーネット博士は、この世界はいずれ崩壊するのは長くはないと考えていた。

博士は軍の研究施設で《コロナ》の研究をに続けた。しかし二年が経ち博士は実験中の事故により命を落としてしまう。

博士の死により、世界の運命を動き始めたことにこの時誰も気付いていなかった。
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