飴色蝶 *Ⅱ*
私は、彼に、強く

抱きしめられている。

「俺だって、お前の傍に
 居たいさ
 お前の願いを何一つ
 叶えてやれないくせに俺は
 お前に言う事を聞かせる為に
 別れを口にしたりして
 こんな自分が堪らなく嫌で
 ・・・約束を守れない事が
 歯痒くてしかたがない」
  
私は、抱かれる貴方の腕の中
彼を見上げて言う。

「もう、いいよ、イオリ
 もう、自分を責めないで
 貴方も私と同じくらい
 寂しい事知っていたはず
 なのに
 
 私は、自分の想いだけで
 いっぱいで気づく事が
 できなかった」

「すみれ」
   
二人は、玄関先で抱きしめ合い
何度も口づけを交わす。
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