飴色蝶 *Ⅱ*
庵の背中に腕を回し、必死に
彼にしがみ付く巴。
 
身近に感じる

彼女の香り存在。

菫よりも背の高い巴を、抱き
慣れない庵は腕のやり場に困る
   
しかし、自分の立場を顧みずに
庵の事だけを想い

こんな危ない場所にまで
現われて、守ろうとしてくれる
巴の腕を振り払う事はできない
 
それに、もし
今ここで、彼女が会澤組長の娘
だと組員に気づかれれば

彼女を利用しようと考える者も
出てくるかもしれない。

要に目配せをした庵は、自分の
背に回された彼女の手を解く。

「乗れよ」

庵は、巴の手をとり
待たせていた車に共に乗車した
  
そして、車は走り去る。

会澤組、組員達の見つめる中
庵と共に消えた巴。
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