飴色蝶 *Ⅱ*
誰も愛せないはずの巴が

愛した人・・・高月 庵

彼を想い涙する女性がもう一人

・・・菫

新は、菫を愛している。

何も、同じように

報われない愛に

心を痛める事は無いのに。

涙を流す妹を、新はそっと
抱き寄せた。

「アラタ・・・」

「今だけ、こうしていてくれ
 おまえの気持ちが、俺には
 痛い程に分かるから」

久しぶりに感じる、昔

愛した人の温もり・・・

「そうだ、アラタ
 あなたに、お願いがあるの
 こんな事、あなたに頼むのは
 間違っている
 そう分かっている、だけど
 あなたしか頼める人がいない
 
 イオリに伝えて、彼女が
 スミレさんが危ないと」

「スミレが危ない・・・
 トモエ
 それはどういう事だ」

< 198 / 410 >

この作品をシェア

pagetop