飴色蝶 *Ⅱ*
自分の事に、気づいてくれたに
違いないと思った、その女性は
とても嬉しそうな顔をして
話し出す。

「久しぶり、イオリ
 あなた
 昔と少しも変わってない」

透馬が、彼女に問いかけた。

「スミレ(澄)、高月の三代目
 と知り合いなのか?」

「すみれ・・・?」

今、庵の目の前で、微笑を
浮かべる女性。

彼女は・・・思い出した。

「確か、すみれのダチ」

そう彼女は、麻子だった。

庵の、その言葉に麻子の顔色が
変わる。
 
彼女は立ち上がり、庵の左頬を
勢いよく打った。

そして、彼女は顔を真赤に
させて怒った口調で話し出す。

「馬鹿にしないでよ
 昔、抱いた女の名前は
 思い出せないくせに
 手を出せなかった女の名前
 を聞いて、彼女の事は
 すぐに思い出すのね・・」
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