飴色蝶 *Ⅱ*
『貴方が好きです』

制服を着た十七歳の菫が
震える声で庵に告白をした

あの日の事を思い出す。

庵は、繋いだ菫の手を強く
握り締め、彼女を寝室へと誘う

庵は、ずっと着たままだった
ジャケットのボタンを外して
脱ぎ捨てた。

白いシャツが、赤く染まるのを
見た菫は、ここで初めて
庵の怪我の事を知る。

「イオリ、怪我してるの?」

庵は一度だけ頷き血に染まった
シャツを脱ぐ。

上半身裸になった庵の腹部には
包帯が巻かれていた。
  
「イオリ、私、何も知らなくて
 ・・・私の事、抱きしめたり
 して痛かったでしょう?
 病院へは行って来たの?
 他に怪我は無い?
 
 ねぇ、イオリ・・・」
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