飴色蝶 *Ⅱ*
庵は、今の自分に別れを告げる

そして、また以前の貴方に
戻っていく。

鋭く刺すような瞳で、世間を
見つめ、寂しさと悲しみの色を
いっぱいに詰め込んだ瞳を隠す

そして貴方は、自分自身を
奮い立たせた。

今にも、壊れてしまいそうな

あなたを

私は、抱きしめてあげることも
できない。

翌日庵は、透馬に話したように
本部事務所に執行部の連中を
集め、伊納組に復縁状を送る事
を決めたと告げた。

「三代目
 それは、また唐突な・・・」

「親父、そんな事を先代が
 許される訳がありません」

幹部の中には初代組長、一夜が
この組を去った後の
正二と初馬の内部抗争を知る者
達がいる。

彼らは、口を揃えて
伊納組と復縁する事を
疑問に思う声をあげた。

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