飴色蝶 *Ⅱ*
遠い昔

異母兄と知らずに

愛し合い

未来を誓い合った人。

貴方の悲しむ顔を

私は見たくない。

巴は、自分の

傷ついた手首を見て

思い知る。

『生きる事に必死になれず

 死ぬ事もできない
 
 中途半端な、私・・・』

幼子を抱えて、必死に生きて

庵の帰りを待ち続ける

菫には適わない。
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