飴色蝶 *Ⅱ*
あの一件が、表沙汰にならずに
済んだおかげで

庵は、菫と浬と共に、新しい
場所に移住して生活を送る事が
できていた。

もう、庵の命を狙う者達は
いないかもしれない。

けれど、もしもの事を考えて
私達は、以前の場所で暮らす事
を避けて、当初の予定通り
住み慣れた街を離れ、心機一転

何も無い、この町で
穏やかな日々を過していた。

庵は幹生の父親(棟梁)の紹介
のもと、大工として働かせて
もらっている。

遠方での仕事が、やっと
終わった庵。
 
今日からは、朝早くに家を
出なくて済む為

こうして、浬が起きる時間に
一緒に居ることができた。

浬は、父親と一緒に過ごせる
朝の時間が、とても嬉しい
ようで人一倍、話す。

次から次へと、よくこんな
にも朝から話せるものだ。
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