飴色蝶 *Ⅱ*
その姿は、久しぶりに見る庵
本人だった。

彼は、あっという間に
至近距離に現われ

言葉よりも先に私を
その胸に抱き寄せた。  

「すみれ、逢いたかった」

聞こえた・・・貴方の声

聞こえる・・・貴方の鼓動

私は、庵の背に腕を回して
夢中で貴方に抱きついた。

「イオリ、どうか許して
 貴方のこと、いっぱい
 傷つけた、ごめんね」
  
庵は溢れる涙を堪える
菫を見つめて伝える。

「許すも何も、お前は悪くない
 俺の為に、辛い思いをさせて
 ごめんな」

庵の手が菫の頬にそっと触れる

「痩せたんじゃないか
 ちゃんと、飯食ってたか?」

返答に戸惑う私の頭に
手を置く庵は優しい声で言う。

「馬鹿・・・
 何か美味い物でも
 食べに行こう」
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