飴色蝶 *Ⅱ*
二人の会話に耳を傾けている
うちに気になっていた
新への想いは、いつの間にか
どこかへ消えてしまっていた

「それにしても、あの
 イオリ先輩とスミレがねぇ
 学生の頃、先輩に
 こっ酷く振られた後の
 スミレは、可哀想で
 見ていられなかったよ
 
 それに止めを刺すように
 親友の子と先輩が
 付き合っちゃった訳だし
 ・・・・・・」
   
「サラサ、違うよ
 イオリさんは、彼女とは
 付き合ってないでしょう
 ううん、彼は、誰とも
 付き合ってなかったと思うよ
 
 彼と関係を持った女性が勝手
 に、そう話しているだけで
 イオリさんは、いつも何処か
 冷めていた
 あの頃の彼を知っている人が
 今の彼を見れば驚くでしょう
 ね、スミレを見つめる彼の瞳
 は、もうあの頃とは違う
 彼が心から愛した女性は
 多分、スミレ
 あなただけだと思うよ
 なんて、私が言わなくても
 知ってるね」

「うん、知ってる」
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