~秘メゴト~
第2章 初恋

臆病な日々

 一目惚れで初恋の、有に対する姫乃の想いは、日に日に募る一方だった。

 今まで異性が気になったことのない姫乃には、この想いが単なる憧れなのか、それとも恋なのか、初めは判らなかった。

 広い中等部の校舎のなかでも、3年生の教室は4階で、姫乃たち1年生は2階の教室が割り当てられている。

 それでも、極たまに1階の特別教室で擦れ違うことがある。

 そのときの姫乃といったら、端から見ても判る程に赤面して、憧れの姿を正視出来ずについ俯いてしまう。

 折角のこの好機にも、有の顔すら見ることが出来ないのだ。

 彼が空気を揺らして通り過ぎると、姫乃は振り返り立ち止まる。

 そのときに彼の隣に女子が居たりなどすると、姫乃の心は凍てつき、張り裂けそうにきゅっと痛むのだった。



 ―――私、上領先輩が、すき。

 苦しいくらいに、好き。
 こんな痛みは初めて。

 先輩の隣に居る女の子が羨ましくて、妬ましくて、涙が出そうになる。

 どうしてそこに居るのが私じゃないんだろうって。
 せめて同じ歳に生まれていたらもっと近付けたのに。

 …こんなの、おかしいよね。

 先輩を好きになって、私ってば嫌な子になっちゃったのかな…。




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