~秘メゴト~

月光

 服を着た有は姫乃に近付き、華奢な手首にきつく巻き付けた帯を外した。

 抵抗の跡が、くっきりと朱い痕を残している。


 両手が自由になった姫乃は、よろよろと起き上がり、露にされたふくよかな胸をブラウスを手繰り寄せて隠した。

 散々犯されたとはいえ、少女のせめてもの羞恥心だった。


 そこここに散乱する服や、引きちぎられたネックレスを探す。



 ――…私って、バカだ。

 こんなことをされてもまだ、必死にボタンを探しているなんて。



 また 涙が一粒零れた。





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