~秘メゴト~
 生まれて初めて、授業をさぼってしまった。


 初夏の爽やかな風が吹き抜ける屋上の壁にふたり並んでもたれながら、姫乃はあの夜からの出来事を瑠璃に話した。


 瑠璃は真剣に、赤くなったり蒼ざめたりしながら聞いていたが、姫乃が語り終えると、優しく幼馴染みを抱きしめた。


「辛かったね…姫乃は頑張ったよ」


 彼女のその言葉は、傷付き悲鳴を上げる姫乃の心の奥底にすとんと落ちていき、じんわりと温かく染み込む。




 涙にはおしまいがないのかな。



 腫れた瞼をゆっくりと閉じると、瞳からまた涙が溢れでた。



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