バックネット裏の恋
戻りたくて
朝のシフトミーティングが終わると私は持ち場につく前に一人事務所のデスクに向かう沢村主任に声をかけた。
「沢村主任」
「滝沢さん、どうしたの」
私は周りに誰もいないことを確認すると、制服のポケットから昨日主任にもらった草野球のチケットを取り出した。
「これ、お返しします」
「都合悪い?」
「いえ、その・・・」
「なんで君に来てほしいのか、その理由を言えば来てくれる?」
「それは・・・」
どう答えていいかわからないでいる私をわざと困らせるかのように主任は続けた。
「好きなんだ」
「えっ?」
「滝沢さんのこと」
「好きって・・・」
「あははは、冗談冗談。ごめん意地悪して」
そう言うと沢村主任は私をからかうようにして笑い出した。
「実は、僕が入っている草野球のチームメイトに石黒がいるんだ。石黒鼓太郎、知ってるだろ?」
「石黒先生が」
「あいつとはもう五年くらいの付き合いになるんだ。もちろんプライベートでも付き合いがあってね」
「そうなんですか・・・」
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