きすらぶっ!
第一話
俺、上木雄輝は走ってる。


それも、未だかつて誰もみたことがないような素晴らしい速さで。


頭上に広がる、爽やかな青空。


右手には学校指定の鞄。


左手にはパン。


前にはこちらを振り向く生徒達。


後ろには――


「雄輝ぃぃ! 逃げるなぁ!」


「だったら追いかけるなぁ!」


鬼。


「なめんじゃないわよ!私の脚の速さは全国の五本指のなかに入るのよ、さぁ観念しなさい!」


「だぁれが観念なんかするか!」


悠長に説明してる暇は無いけど仕方ない。


コイツは俺の幼なじみの高城瑞穂。


もう少し詳しく言うと、身長160㎝、体重♪♪、Bカップの典型的な一般女子体形。


身体能力、頭脳、全てが普通じゃないれっきとした高校一年生。


ちなみに俺も一年生。瑞穂と同じ『凛紅中学校(リンコウチュウガッコウ)』に通う生徒だ。


「まだ朝のキスしてないのよ!」

「しなくていいわ!」


これが俺の悲しい日常。
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