永遠なる誓約

望み通りの急襲者





***



デュナミス…


もう少しで母国ともお別れ。



馬車に揺られながら窓の外に目を遣り、今では遠く離れた城下街をぼんやりと眺める。


デュナミスの王女としてこの場に居られるのは今日で最後となるだろう。


次に訪れるとしたら、その時には既にルナティアの皇妃となっているはずなのだから。








もう…山賊でも何でも構わないから、私を連れ出してくれれば良いのに。

そしたら自由になれるのに。












…その時の私は、なんて馬鹿な事を望んでしまったんだろう。


山賊に襲われて無事で済む訳なんて無いに決まっている。



だけど今の私にとっては、後々の事態を予想する事さえ難しかったんだと思う。







意識を目に戻すと、いつの間にかデュナミスの城下街は見えなくなり、馬車は深い森の中に入っている事に気が付いた。


私は小さく溜め息をこぼして目線を馬車の中へ変え、今度は何も考えずに壁を見詰める。




そして、そのまま順調にルナティアへ向かって進んでいる…はずだったのに。







ガタンッ




…何?

馬車が急に止まった…。




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